アカザカズラ
雲南百薬、オカワカメ、ビナホン(Binahong)
分類
界 | 植物界 |
亜門 | 被子植物 |
綱 | 双子葉類 |
目 | アカザ目 |
科 | ツルムラサキ科 |
属 | Anredera |
学名 | Anredera scandens(Linn.) Sm, Anredera cordifolia (Tenore) Steenis, Boussingaultia basselloides H.B.K, Boussingaultia cordifolia Ten. |
和名 | アカザカズラ |
英名 | Madeira vine, Mignonette-vine |
インドネシア名 | Binahong |
学名について
Anredera scandens (アカザカズラ)は、1818年リンネによって記載され(Cycl. 39: Anredera n. 1. 1818)、Flora of China, FOC, 5, p445に初出とされる(www.eFloras.org).
同書には、Polygonum scandens Linn. としても1753年に紹介されているが、Anderera sacandensと同じ種であるかもしれない。
またFlora of China, FOC, 5, p446には、Anredera cordifolia (Tenore) Steenisと紹介され、出所はFl. Malesiana, Ser. 1, Sermatoph. 5(3):303, 1957である。
Anderera sacandensもAnredera cordifoliaも、Basellaceae (ツルムラサキ科)、Anredera属とされており、両者は同一の植物とみられる。
最近の研究報告の多くでは、Anredera cordifolia(Ten.)Steenisの名称を使用するものが多い。

アカザカズラとは
アカザカズラは南米を原産地とし、cordifoliaの名称が示す様に葉は心臓の形の植物種。
蔓性で3~6mも伸長することから、英名としてVine(つる草、ブドウの木)と呼ばれる。
濃い緑の葉が着き、無数の白い花が咲き、結婚花輪(Bridal Wreath)とも呼ばれる。
地上の枝に緑~淡褐色の不整系の小塊茎をつける。

常緑の植物で根茎から成長する。
雌雄同株だが、種子ができることは稀で枝や塊茎から容易に出芽成長する。
葉は4~13㎝長で新鮮な葉や乾燥葉を噛むと、粘ちょう性があり、日本では「オカワカメ」とも呼ばれる。
また、中国名の「雲南白薬」を医薬品的価値から、日本では「雲南百薬」のコショウで呼ばれることが多い。
インドネシアでは垣根に観葉植物として栽培し、近年では多くの研究から医薬品的な利用が進んでいる。
侵襲性が非常に強く、容易に他地域、他国に外来種として広がっている。
日本での栽培は、温暖な南九州や沖縄地方と限定的だが、長野県では室内あるいは温度管理を適切に行えば常緑植物として育つ。
葉の栄養価は高く、一部の地域では新鮮な葉を食用としているが、日本全体としては一般的でない。
葉の栄養成分
葉の栄養的な分析の具体例はないが、マグネシウム、カルシウム、亜鉛や銅などが豊富であることが、ネット上で見られる。
インドネシア産の雲南百薬の葉の乾燥粉末の栄養分析例をみると、ミネラルとしての灰分が特異的に多い(21%)ことが確認されている。
豊富なミネラルに加えて、高蛋白質(24%)、高脂質(7.8%)と栄養的に優れている。
新鮮な葉だけでなく、乾燥した粉末の栄養補助食品としての役割は十分に期待できる。
(雲南百薬はの乾燥粉末食品はまもなく発売されます)。
葉の基準
近年、Binahong(ビナホン)のインドネシアでの研究はすさまじいものがあります。
インドネシア保健省伝承的医薬品当局(BPOM)は、ビナホン葉を世界の保健食品として栽培、食品化、栄養基準などの基準書を作成しています(The Power of Indonesian Original Medicine Series 2016年)。
本基準書によると
- 総フラボノイド含量/ 1.1%以上
- 識別化合物/2,4-dihydroxy-6-methoxy-5-formyl-3-methylcalcone
- 乾燥重量/10%以下
- 総灰分/16.3%以下
- 水可溶性分/13.5 %以上
- エタノール可溶成分/19.6%以上
これらに基準値に関しての基準決定の根拠は示されていない。

インドネシアの伝承使用適用疾患
ビナホンはインドネシアでは、古くから栽培されてきているが、近年伝承医薬品として国内で広く使用されるようになっている。
適応疾患としては、
- 慢性咳嗽
- 潰瘍や創傷の鎮痛に
- 捻挫
- 吐血
- 糖尿病
- 歯痛
- 急性胃炎
- 頭痛
- 外科手術時の鎮痛と創傷治癒
- 皮膚のあざや火傷の鎮痛作用
- 痛風
- リウマチ、であり
主として、鎮痛、創傷治癒、糖尿病、痛風、気管支炎に頻繁に使用されている。
化学成分
雲南百薬(Anredero cordifolia, Anredero scandens)の葉の化学物質として数多くの物質群が確認されている。
それらは、
- サポニン
- フラボノイド
- ポリフェノール
- アルカロイド
- テルペノイド
- 精油
などです。
植物であるため多様な物質が抽出確認されるのは当然であり、各成分の薬理作用の解明は今後の課題であろう。
その中で、雲南百薬の薬理作用をもった特異成分として注目できるのは、下記物質である。
(1) 8-glucopyranosyl-4′, 5, 7- trihydroxyflavone (Vitexin), 別名8-glucopyranosyl apigenin
(2) 2,4-dihydroxy-6-methoxy-5-formyl-3-methylcalcone


何れもポリフェノール物質であり、生理作用をもつと考えられる。
薬理作用
雲南百薬の葉の薬理作用については、インドネシアを中心に研究が進められており、多様な作用があることが報告されている。
- アルツハイマー病
- 鎮痛作用
- 抗炎症作用
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 抗酸化作用
- 抗脂質異常症
- 抗腫瘍効果
- 抗糖尿病作用
- 胃保護作用
- 肝保護作用
- 降圧作用
- 抗高尿酸血症
- 腎疾患改善作用
- 抗肥満作用
- 創傷治癒作用
上記のように多様な生理、薬理作用をもち、天然物を利用した健康維持・増進など予防医学分野で重要な植物といえる。
安全性
アカザカズラの葉の安全性は、急性毒性、亜慢性毒性、及び生殖遺伝毒性試験で安全性は確認されている。
急性毒性 | マウスにエタノール抽出物を最大15g/kgを経口投与したが、死亡も毒作用も認められなかった。 |
亜慢性毒性 | ラットにエタノール抽出物を0.1、0.4および1g/kg、90日間にわたり傾向投与したが、死亡、体重、血液検査、臨床生化学検査、病理組織学検査で雲南百薬に起因する毒性は認められなかった。 |
催奇形性 | 妊娠ラットにエタノール抽出物の100、400及び1000㎎/kgを妊娠6日から15日の間に投与し、骨・臓器形成および成長への影響は認められなかった。 |
雲南百薬商品情報
インドネシア産の雲南百薬粉末の100g及び1㎏包装品がまもなく輸入の予定です。
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